タケイブログ

ほぼ年1更新ブログ。

2014-10-01から1ヶ月間の記事一覧

動きが刻む生の軌跡――『抱きしめたいー真実の物語ー』評

過去の交通事故が原因で半身麻痺と記憶障害を患うつかさと、網走でタクシー運転手をしている雅己の日々を綴る本作。その冒頭、雅己が知り合ったばかりのつかさをタクシーに乗せるくだりが印象的だ。雅己はタクシーのドアを開けると、つかさを抱きかかえて座…

『NO』感想

一九八八年チリ、独裁政権の信任を問う国民投票が行われ、民主化を求める政権反対派が勝利した。その決め手となったのは、投票日までの 27日間、毎日15分だけ放送されたPR映像だ。わずかな放送枠の中で広告マン達がとった戦略とは? 本作は実話を元に賛成…

折り合いの付けるための「ハ」――『フランシス・ハ』感想

ルームメイトが恋人と同棲を始め、アパートを出ることになったフランシス。住居なし、定職なし、二十七歳未婚のモダンダンサー志望。本作はそんな彼女の日々をコメディタッチながらもリアルに綴る。冒頭、親友のソフィーとの「喧嘩ごっこ」は本当に楽しそう…

吹き荒ぶ娯楽の竜巻――『イントゥ・ザ・ストーム』感想

積乱雲から垂れる漏斗雲、その先端が下方へと伸びていき、やがて大地に触れる。それは渦巻く風となって、稲光を走らせ、電柱をなぎ倒し、木々を巻き上げ、屋根を引き剥がし、車を吹き飛ばしながら進んで行く。竜巻の猛威を描く本作ではこのように凄まじい破…

鬼才・園子温監督もDJとしては二流である――『TOKYO TRIBE』評

トーキョー各区を牛耳る徒党(トライブ)。その抗争を描く本作は世界初の「バトル・ラップ・ミュージカル」である。現代版『ウエストサイド物語』であるかと思いきや、『マッドマックス2』『時計じかけのオレンジ』『キル・ビル』の要素もある怪作だ。何より…