タケイブログ

ほぼ年1更新ブログ。

2011-01-01から1年間の記事一覧

”正統派文学”の空虚な中心――かじいたかし『僕の妹は漢字が読める2』感想

僕の妹は漢字が読める2 (HJ文庫)作者: かじいたかし,皆村春樹出版社/メーカー: ホビージャパン発売日: 2011/10/29メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 167回この商品を含むブログ (34件) を見る ご存じの通り、本作は「漢字が使われなくなり、萌え文化がメイ…

「行きて帰りし物語」と「インドに旅して悟りをひらく」式物語、および想像的コミュニティについて少々。

連絡がてら更新。私事ではあるけれど、明日からチェコ・フランス旅行に行く。カフカ、クンデラ、シュヴァンクマイエルゆかりの地であるプラハ、ルーブル美術館、ムーラン・ルージュ、シネマテーク・フランセーズのあるパリ……はじめての海外旅行ということも…

「家族」から離れて息の抜ける場所へと ――ヤン・イクチュン監督作『息もできない』感想

友人マンシクの下で働くサンフンは借金の取り立てを行う日々を送っていた。一度火が付いたら誰に対しても暴力をとめられない彼は、およそマンシクの手に余る程に粗暴なチンピラだった。そんな彼の人生には子どもの頃のある出来事が影を落としていた。 ある時…

それゆけ!MUKADEMAN――『ムカデ人間』感想

『ムカデ人間』公式サイト(※一応、グロ注意) http://mukade-ningen.com/ ヨーロッパを旅行中のアメリカ人女性の二人組は、ドイツ郊外の森を走行中に車のタイヤがパンクしてしまい、立ち往生してしまう。助けを求めて二人が暗闇の中を歩き回ると、かつてシ…

漢字が読めない「僕」の文学――かじいたかし『僕の妹は漢字が読める』感想(修正版)

作家を志す高校生のイモセ・ギンは、現代文学の旗手であるオオダイラ・ガイに会うために、妹のクロハとともにトウキョウにある彼の邸宅にやってきた。クロハのフォローもあって彼らは、二十人もの「妹」たちが外壁を彩るオオダイラの邸宅に招かれることにな…

アッバス・キアロスタミ監督作『クローズ・アップ』感想

失業者のサブジアンはふとしたきっかけから、ある一家に対して自身が敬愛する映画監督を騙ることになった。彼は一家に出入りするようになると、お金や食事の無心を続け、架空の映画製作を一家とともに進めた。当初は一家から尊敬と歓待を受けていたものの、…

「人間」江野祥平と「モンスター」村田幸雄−−白石晃士『超・悪人』感想

例のごとくネタバレがあるので注意! ■ 男がカメラに向かって話しかけている。ジャンパーを羽織り、厚手の手袋をはめ、風変わりなサングラスをした坊主頭のその男は、手にしたハンディカムをあらぬ方へと向ける。どうやらそこはマンションの一室であるらしい…

アンドレイ・タルコフスキー『惑星ソラリス』

昨日は久々に新文芸座のオールナイト上映を観にいった。上映作品は『惑星ソラリス』『ストーカー』『鏡』の三本、アンドレイ・タルコフスキー特集である……のだが、後ろの二本でまるまる寝てしまって結局、単なる『惑星ソラリス』の再視聴となってしまった。…

ジョルジュ・メリエス『月世界旅行』

物語は科学者たちのケンケンガクガクの会議模様に始まる。整備を終えた大砲型のロケットに乗り込んだ科学者たちは、人々から盛大に見送られて地球を出発する。猛スピードで発射されたロケットがあばた顔の月に突き刺さる(ポンキッキで使われた有名なシーン…

【読書感想】宇野常寛『ゼロ年代の想像力』自分用まとめ

宇野常寛『ゼロ年代の想像力』読了したので、自分なりにまとめてみた。引用多し。 けど実家に帰省中でPCがないので構成しづらい。 また今度修正する。■ 消費社会の浸透とそれに伴う社会の流動性上昇の過程で、「大きな物語」が機能しなくなるポストモダン状…

fc2ブログからはてダに移項してみる。どっちが便利なものかはてさて。

『素晴らしい一日』

『素晴らしい一日』 http://www.cinemart.co.jp/subarashii/貸した金を返してもらうために、元カレと一日行動をともにするはめになった女性の物語。平安寿子の短編小説をイ・ユンギが映画化した本作は、さながら大都市ソウルを舞台にしたロードムービーとい…

「円環少女 ままま∞ワワワ」(『魔法少女まどか☆マギカ』感想)

『魔法少女まどか☆マギカ(以下、まどマギ)』を観終わった。好きな作品かと問われるとそうでもないけど、圧倒的に面白い作品だったことは確か。数々の王道に支えられつつも、蒼樹うめ氏、新房昭之氏、劇団イヌカレー、シャフト、そして虚淵玄氏。それぞれの…

『アンチクライスト』

ラース・フォン・トリアー監督作『アンチクライスト』 http://www.antichrist.jp/ 雪の降る晩、ある夫婦がセックスに没頭している最中に幼い息子が窓から転落し、命を落とす。事故のショックで妻は精神を病んでしまう。セラピストである夫は妻を救うため、精…

『七人の侍』

戦国時代、かつて野武士の一団の襲撃を受け略奪の憂き目に遭った村に向けて、再び野武士たちが襲撃を目論んでいた。百姓たちが震え上がる中、野武士に妻を奪われた利吉は彼らとの戦いを主張する。村の長老は百姓たちに意見を問われ、「腹を空かせた侍を雇え…