タケイブログ

ほぼ年1更新ブログ。

2012-01-01から1年間の記事一覧

2012年鑑賞映画総括

去年までmixiの方で簡単にやっていた映画ランキングを、今年は備忘録がてらこっちに引っ張り出してみることにする。 ■視聴作品本数○新作 57本 ○旧作 50本 ○計 107本※新作は2012年日本で劇場公開された作品及び発売されたVシネマ ※旧作は名画座や映像ソフトで…

力なき言葉の会話劇――アッバス・キアロスタミ『ライク・サムワン・イン・ラブ』評

窓ガラスがぶち破られ、エンドロールが始まる。むしろ清々しさすら覚える唐突な結末がさらけ出すのは、映画から言葉の力が失われる瞬間だ。 たとえば明子は弁が立たないため、コールガールの仕事を断るのにも恋人のノリアキへの言い訳にも失敗する。幼稚さの…

『メリエスの素晴らしき映画魔術』『月世界旅行(彩色版)』感想

SFXの祖と言われる創生期の映画作家ジョルジュ・メリエス。彼の代表作である『月世界旅行』の彩色版フィルム映像が、ついに最先端のデジタル技術と職人たちの力によって復元された。今なお人々を魅了し続けるこのフィルムの秘密とその復元作業の過程に迫…

シャンカール監督・ラジニカーント主演『ロボット』感想

百万馬力、精密動作、内蔵火器、……等々数多くの機能を備えるチッティは言うなれば夢のスーパーロボットである。だが彼は人間の感情を解さず、融通も利かないことから次々と騒動を巻き起こしてしまう。それらのシチュエーションはリアリティに囚われない数々…

『グレイヴ・エンカウンターズ』についてのメモ書き

コリンウッド精神科病院――広大な敷地をもつその病院には、1895年間から65年間にわたり8万人もの重度の精神障害者が入院し、多くの患者が院内で命を落としていった。 現在廃墟であるこの病院には不吉な噂が絶えない。笑いながら徘徊する幽霊の目撃証言、かつ…

映像がもたらす「恐怖」――高橋洋『映画の魔』

映画の魔作者: 高橋洋出版社/メーカー: 青土社発売日: 2004/09メディア: 単行本 クリック: 27回この商品を含むブログ (32件) を見る『女優霊(1996)』で中田秀夫監督とコンビを組み、つづいて『リング(1998)』『リング2(1999)』を世に送り出してJホラーの一大…

『湖中の女』にゲームっぽさをみる――ロバート・モンゴメリー監督・主演『湖中の女』

湖中の女 [DVD]出版社/メーカー: ジュネス企画発売日: 2011/02/25メディア: DVD クリック: 8回この商品を含むブログ (2件) を見るクリスマスの三日前、私立探偵フィリップ・マーロウは、ホラー専門出版社であるキングズビー出版社のオフィスにやってきた。探…

『別離』についてのメモ書き

1.物語について・家族を守るために吐いたわずかな嘘。そのために彼らは皆、泥沼に陥っていく。・ホッジャドを打ち負かし、正しさを証明せねば解決にはならないと思うラデル。娘を守るために示談をもちかけるシミン。ここに男女の違いを感じる。・利発そう…

ミニ貞子が出ればよかったんじゃないかな――『貞子3D』感想

いまや和製ホラーの一大キャラクターと化した貞子は、最新の3D映像技術により『リング』の物語とスクリーンの双方から飛び出した。しかしながら、今作の貞子が画面越しに伸ばす白い腕は決して観客席に届かない。劇中で仄めかされる通り、『貞子3D』は「…

『戦姫絶唱シンフォギア』所感

とりあえず作品全体に対しての所感を書き留めておく。 できればきちんと突っ込んで書いておきたいけど、続くかは不明。■ 久々に自分の中で盛り上がった作品。成長物語として、友情物語として、特撮ヒーローものとして、おおいに楽しむことができた。ノイズも…

「ほれぼれし」さこそ英雄の資質――『戦火の馬』感想

「ある馬が、次から次へと人の手に渡りながらも戦場を生き延び、やがて元の飼い主と再会する」という奇跡を描いた話。一見すると感動のドラマでありながら、その実何が言いたいのかについてはあえて曖昧にされているように思う。何よりその奇跡の理由の大部…