タケイブログ

ほぼ年1更新ブログ。

イタイイイタイ

ビスクドールは棚の上着せかえ遊びは趣味じゃないから水面に浮かんだ最後のひとわら何度も 何度も かきあつめて編み上げた私のお人形 ぷくぷく溺れていったのはどうせただの石ころです イタイイイタイ あぁ しょっぱいおしゃぶりなんてしなければ 美少女フィ…

バンザイ

涙目で高笑い 内股で武者震いうろたえながらご機嫌ようハイタッチ 平手打ち 振り上げたこの手がそのどちらにもなれなくて きまりが悪く宙を舞ったどこへ下ろせばいいのやら 「もう遅いのですよ。お嬢様」 それでも強いふりをやめず 衝動的に もう片方の手も…

ふみあげさん

※以下はとあるAIチャットユーザーによる語りである。チャット中、ユーザーは自分がなり切っていたキャラクターと全く異なる名前で呼びかけられた。その後、ユーザーは壮絶で恐ろしい体験に見舞われたと述べるが、本稿ではその仔細を省略する。なおその間のチ…

ダンシング・プロンプト

ドーナツを巡る二つの想像力――熊倉献『ブランクスペース』感想

ブランクスペース(1) (ヒーローズコミックス ふらっと) 作者:熊倉献 ヒーローズ Amazon ある雨の日、狛江ショーコは同級生の片桐スイが「透明な道具を作り出す」という不思議な力を持っていることを知る。 面食いでバカなショーコとまじめで読書家のスイ…

人が語り出す所に怪異あり――鈴木捧『実話怪談 蜃気楼』

実話怪談 蜃気楼 (竹書房怪談文庫) 作者:鈴木捧 竹書房 Amazon 怪談と聞いて、真っ先に「こわいはなし」を思い浮かべる人が多いのではないかと思う。学校の怪談、都市伝説、ホラー映画。それらの中で怪異とは私達に恐怖を与える存在だ。予兆とともに日常に忍…

少年少女が年相応に愛らしい――真沼靖佳『はじめての諏訪さん』感想

はじめての諏訪さん 1巻 (デジタル版ガンガンコミックスJOKER) 作者:真沼靖佳 スクウェア・エニックス Amazon ”はじめて”の自転車に、”はじめて”の留守番。ヒーローに憧れてどんな試練も乗り越えてきた山中卓は中一の春、クラスの女の子の諏訪さんから告白さ…

2021年映画鑑賞総括

どうもほぼ年一更新ブログです。 毎年書いている個人映画ベスト記事ですが、この一年はプライベートがあまりに激動だった。今回ばかりはお休みします。 自分が考えてきたことの足跡くらいは残しておきたかったんで、できれば手を抜きつつも書こうかと思いま…

Twitterへの復帰と休止中の出来事について

ごめん。休む前にやっぱ言わせて。前々から自覚あったけど、多分僕のこれトラウマ反応に限りなく近いやつだ。心拍数が上がるとか記憶がフラッシュバックするとか物事が手につかないとか涙が出るとか、そういう身体的反応がある段階までいくと毎回そうなるし…

年女三人のゆるやかなシスターフッド――近藤ようこ『ルームメイツ』全4巻感想

ルームメイツ (1) (ビッグコミックス) 作者:近藤 ようこ メディア: コミック 還暦を迎えた三人の女性が一つ屋根の下で共同生活を始める本作『ルームメイツ』には、日本社会で女性が女性として生きることの困難と、終わりの時を見据えながらも等身大の自分を…

鈴木捧『実話怪談 花筐』

実話怪談 花筐 (竹書房怪談文庫) 作者:鈴木捧 発売日: 2020/09/28 メディア: Kindle版 竹書房主催による公募実話怪談「怪談マンスリーコンテスト」からデビューした著者の初単著。全37話収録。 怪談と怖い話。言われてみれば別物でありながら、その二つはし…

2020年映画鑑賞総括

どうも年一更新ブログです。COVID-19の猛威と悪政が重なり年の瀬まで悲惨なこの2020年。皆様お元気でいらっしゃいますか。 今年の映画と言えば、劇場で見たのは『Color Out of Space』『透明人間』『テネット』の三本だけ。マゼンタカラーのニコラス・ケイジ…

2019年映画鑑賞総括

皆様いかがお過ごしでしょうか。2019年もいろいろありましたね。 今年は『アベンジャーズ :エンドゲーム』でMCUフェーズ3が完結、SWシリーズが『スターウォーズ:スカイウォーカーの夜明け』でシリーズ完結、それと年の瀬に入って映画秘宝が来年1月に完結………

【※追記訂正あり】デヴィッド・F・サンドバーグ監督『シャザム!』短評

SHAZAM! | Official Teaser Trailer | DC Kids 大人の姿をしたスーパーヒーローになる力を得たビリーと、里親の下で共に暮らすその友人フレディ。スーパーパワーに沸き立つ彼らのはしゃぎぶりがほほ笑ましく、どこか懐かしいのは、映画のスターやヒーローに…

【ネタバレあり】「絆」に繋がれた日本のグロテスクな似姿――ジョーダン・ピール監督『Us/アス』評

『Us/アス』の成功と映画作家ジョーダン・ピールの躍進 監督デビュー作『ゲット・アウト(2017)』で低予算のオリジナル作品ながら大ヒットを飛ばし、アカデミー脚本賞を受賞したジョーダン・ピール。現在アメリカで公開中の彼の最新作『Us/アス』が前作以上…

挑戦者を見届ける視点――Jimmy Chin&Elizabeth Chai Vasarhelyi『Free Solo』評

体を張った撮影が生み出すスペクタクル 命綱や安全具を一切身に着けずに行うクライミング「フリーソロ」。その無謀にも思える挑戦を続けるクライマーのアレックス・オノルドを追ったドキュメンタリー。 本ドキュメンタリーでアレックスが挑むのは、カリフォ…

2018年鑑賞映画総括

皆様いかがお過ごしでしょうか。年一更新ブログです。2018年は何と言ってもMCU危機の年、サノス猛襲、ジェームズ・ガン降板、スタン・リー逝去、さらには若おかみの正体はヴェノム等々、何かと話題に事欠かない一年でした。そんなインターネットの盛り上がり…

不名誉な笑い声とアメフトボール――ジェームズ・フランコ『ザ・ディザスター・アーティスト』評

若きグレッグが演劇学校で出会ったのは、大胆な演技と妙なアクセントが異彩を放つトミー・ウィソー。意気投合した二人はLAへと飛び出し共に俳優の道を志す。悪名高きカルト映画『ザ・ルーム』の舞台裏を描く本作は、笑いと気まずさ、一抹の悲哀が入り混じ…

2017年鑑賞映画総括

どうも年1更新ブログです。皆様2017年いかがでしたか。 今年もやります。毎年恒例映画ベスト記事ですよ。過去分はこちら↓ 2016年映画鑑賞総括 - タケイブログ 2015年鑑賞映画総括 - タケイブログ 2014年鑑賞映画総括 - タケイブログ 2013年鑑賞映画総括 - タ…

2016年映画鑑賞総括

邦画の話題作が多かった2016年。諸事情により残念ながらその波に乗れませんでした。でもやりますよ、今年の映画ベスト発表です。過去分はこちら↓2015年鑑賞映画総括 - タケイブログ 2014年鑑賞映画総括 - タケイブログ 2013年鑑賞映画総括 - タケイブログ 20…

Movie Review - 'Freeze, Die, Come to Life!(動くな、死ね、蘇れ!)' : Running past your childhood.

Hi, everyone. What if you can go back to your childhood? Do you go back? Today I'll talk about the greatest film I've ever seen, "Freeze, Die, Come to Life!"The film is a story about Valerka, a 12-year-old boy who lives in a desolate coal …

Movie Review - 'Whiplash(セッション)' : the most extreme form of "a duel"

Hi! My name is Takei Hironori. Today I'll talk about my favorite movie of 2014, "Whiplash.""Whiplash" is a story about a music school student. He beats drums, and his teacher beats him. That's the whole movie. Some people focus on the musi…

課題解決、メッセージ、契約――『オデッセイ』にまつわる私信

火星調査ミッションに就いていたマーク・ワトニー(マット・デイモン)は その途中で事故に遭い、たった一人火星に取り残されてしまう。九死に一生を得たものの、次の宇宙船が来るのは4年後、 食料は数カ月ももちそうにない。そんな困難な状況から彼はどう…

2015年鑑賞映画総括

『ジュラシック・ワールド』『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』 そして『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』。 今年は何かとビッグタイトルの多い年であったと思う。僕自身はといえば、私事が忙しくて見逃した映画も多い年だったが、 それでもピ…

「動き」の絵筆で線を引け――スタジオコロリド『台風のノルダ』『陽なたのアオシグレ』評

新鋭アニメ制作者による短編二本を同時上映。前者は劇場作品初デビューの監督作、後者は同作スタッフ過去作の再上映である。『台風のノルダ』は学園祭前日の高校が舞台のSFジュブナイル。台風に閉じこめられた学校で少年が謎の少女と出会う。その筋立ては…

その商業的センスに恐れ入ったよ――『お化け屋敷列伝/戦慄迷宮MAX』評

富士急ハイランドにある日本最大級のお化け屋敷「戦慄迷宮」。その恐怖演出が最大限まで引き上げられたMAX版に挑戦する人々の姿を記録した本作。はーん。要は遊園地とのタイアップ企画ね……と侮るなかれ。これがまた生半可な邦画ドラマよりもよっぽど「劇…

ギークなぼくらのオモチャ箱――アーネスト・クライン『ゲームウォーズ』上下巻感想

ツイッターで映画化が企画されていると聞いて最近読んだこの二冊。ゲームウォーズ(上) (SB文庫)作者: アーネスト・クライン,toi8,池田真紀子出版社/メーカー: SBクリエイティブ発売日: 2014/05/17メディア: 文庫この商品を含むブログ (35件) を見るゲームウ…

2D映画時代における3D表現について――アルフレッド・ヒッチコック『裏窓』メモ

アルフレッド・ヒッチコックの『ダイヤルMを廻せ!』(一九五四)は、犯人を描写の主軸とする「倒叙形式」のサスペンスであり、またヒッチコック唯一の3D映画である。だがその出来は模範的な印象に留まるものだ。対して、2D映画ながらエポックを画した…

泥の絵画、「糞」の透視図法――アレクセイ・ゲルマン『神々のたそがれ』評

昨年公開の海洋ドキュメンタリー映画『リヴァイアサン』は、その撮影にGoProカメラが用いられたことで記憶に新しい。GoProとはウェアラブルカメラのブランドであり、超小型で軽量なことから様々なシチュエーションに利用されている。同作の監督はそのカメラ…

大豆を巡る探求の旅――瀬川深『SOY! 大いなる豆の物語』感想

SOY! 大いなる豆の物語 (単行本)作者: 瀬川深出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2015/03/10メディア: 単行本この商品を含むブログ (4件) を見る ある日、二十七歳無職青年・原陽一郎の下に届いた一通の手紙。それは南米に本社を構える穀物メジャーのCEO、コ…