タケイブログ

ほぼ年1更新ブログ。

2015-01-01から1年間の記事一覧

2015年鑑賞映画総括

『ジュラシック・ワールド』『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』 そして『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』。 今年は何かとビッグタイトルの多い年であったと思う。僕自身はといえば、私事が忙しくて見逃した映画も多い年だったが、 それでもピ…

「動き」の絵筆で線を引け――スタジオコロリド『台風のノルダ』『陽なたのアオシグレ』評

新鋭アニメ制作者による短編二本を同時上映。前者は劇場作品初デビューの監督作、後者は同作スタッフ過去作の再上映である。『台風のノルダ』は学園祭前日の高校が舞台のSFジュブナイル。台風に閉じこめられた学校で少年が謎の少女と出会う。その筋立ては…

その商業的センスに恐れ入ったよ――『お化け屋敷列伝/戦慄迷宮MAX』評

富士急ハイランドにある日本最大級のお化け屋敷「戦慄迷宮」。その恐怖演出が最大限まで引き上げられたMAX版に挑戦する人々の姿を記録した本作。はーん。要は遊園地とのタイアップ企画ね……と侮るなかれ。これがまた生半可な邦画ドラマよりもよっぽど「劇…

ギークなぼくらのオモチャ箱――アーネスト・クライン『ゲームウォーズ』上下巻感想

ツイッターで映画化が企画されていると聞いて最近読んだこの二冊。ゲームウォーズ(上) (SB文庫)作者: アーネスト・クライン,toi8,池田真紀子出版社/メーカー: SBクリエイティブ発売日: 2014/05/17メディア: 文庫この商品を含むブログ (35件) を見るゲームウ…

2D映画時代における3D表現について――アルフレッド・ヒッチコック『裏窓』メモ

アルフレッド・ヒッチコックの『ダイヤルMを廻せ!』(一九五四)は、犯人を描写の主軸とする「倒叙形式」のサスペンスであり、またヒッチコック唯一の3D映画である。だがその出来は模範的な印象に留まるものだ。対して、2D映画ながらエポックを画した…

泥の絵画、「糞」の透視図法――アレクセイ・ゲルマン『神々のたそがれ』評

昨年公開の海洋ドキュメンタリー映画『リヴァイアサン』は、その撮影にGoProカメラが用いられたことで記憶に新しい。GoProとはウェアラブルカメラのブランドであり、超小型で軽量なことから様々なシチュエーションに利用されている。同作の監督はそのカメラ…

大豆を巡る探求の旅――瀬川深『SOY! 大いなる豆の物語』感想

SOY! 大いなる豆の物語 (単行本)作者: 瀬川深出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2015/03/10メディア: 単行本この商品を含むブログ (4件) を見る ある日、二十七歳無職青年・原陽一郎の下に届いた一通の手紙。それは南米に本社を構える穀物メジャーのCEO、コ…

ジミー・グラルトンの歩んだ自由の道――『ジミー、野を駆ける伝説』感想

一九三二年内戦後のアイルランド。農民達がある小さなホールを村に再建した。そのリーダーとなった実在の人物ジミー・グラルトンを描く本作は、生の歓び溢れる自由への賛歌である。 緑いっぱいの丘陵を農民達は馬車に揺られてやってくる。農具を握ったその手…

恋と怒りを闘志の糧に−−武正晴『百円の恋』評

三十二歳ひきこもり女が人生やり直しをかけボクシングに挑戦する本作。主人公・一子のバイト先である百円ショップは救いがたい人だらけだ。おしゃべりで下心丸出しの中年バイト、廃棄弁当を持ち去る陰謀論者のオバサン、いつも愚痴と悪態を撒き散らす店長。…