2012年鑑賞映画総括
去年までmixiの方で簡単にやっていた映画ランキングを、今年は備忘録がてらこっちに引っ張り出してみることにする。
■視聴作品本数
○新作 57本
○旧作 50本
○計 107本
※新作は2012年日本で劇場公開された作品及び発売されたVシネマ
※旧作は名画座や映像ソフトでの鑑賞を含む。また再鑑賞した映画も含む。
去年の記録が残ってないので比較はできないけど、自分の実感とは違ってあまり観ていなかったなという印象。また『アベンジャーズ』『プロメテウス』『ヱヴァQ』等大作は多かったものの、手放しで賞賛できる作品が少なかったのがやや残念……。
それはさておき、今回は新作の中から適当に以下を選出。
1.私的総合ベスト5
2.凄まじい映画ベスト5
3.ダメな映画ベスト5
1は作品の巧拙や個人的な好悪、記憶に残ってるか否かを踏まえて選んだ個人ベスト。2は何か凄いものに立ち会ってしまったと感じられた作品群。3は「ダメさ」を感じた映画ランキング。とはいえ「ダメさ」の範囲は単なる出来の善し悪しに限らないので、必ずしもワーストとは一致しない。あしからず。
■私的総合ベスト5
- 出版社/メーカー: トランスフォーマー
- 発売日: 2013/02/02
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「人間と人間を繋げてムカデ人間を作っちゃおう」という基本コンセプト以外は控えめかつ正道な『ムカデ人間』。その続編となる本作では、主人公を被害者でなく犯人側に据え、テイストもよりアンダーグラウンドな方向性に。下劣で最低。だからこそ単なるホラーやゴアの枠を超えて鬱屈した男の生き様を描ききっている。爽快で素晴らしい映画だった。
とりわけ主演俳優の存在感が物凄い。脂肪でぶくぶくと膨れ上がった体にぎょろりと飛び出した目玉というそのフリークスじみた容貌が、主人公の抑えがたい変態的欲望と生き難さを文字通り体現していて印象的。
- 出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川書店
- 発売日: 2012/11/16
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脚本家から小説家への転身をもくろみ憧れのパリへやってきた男が1920年代のパリの街へと迷い込み、芸術家や文豪の集うサロンの雰囲気に浸っていく。そのような物語を批判的にではなく、最後まで軽妙洒脱なおとぎ話として仕上げてみせる手腕がお見事。最終的に、主人公は憧れの1920年代ではなく現代に生きることを心に決めるのだけど、そこに至るまでの流れは完璧としかいいようがない。反則技だけど、完璧。
ところでウディ・アレンの作品はこれで二本目(一本目は『カメレオンマン』)だけど、三谷幸喜作品や(漫画家だが)石黒正数作品に感じられるるようなどこか鼻につく嫌みたらしさはない。おかげでこの記事を書くまではすっかり存在を忘れていたけど、思い返してみると意外と好感度が高くて自分でもびっくり。
- 出版社/メーカー: 東宝
- 発売日: 2012/06/29
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Jホラー先駆者の鶴田法男によるモキュメンタリー・ホラー。心霊映像や実話怪談、「見せない恐怖」を醸成する演出、そしてフェイク・ドキュメンタリーという形式。それらの要素を、もはやおなじみになりつつあるPOVモキュメンタリーでまとめたJホラーの集大成的作品。不安感を煽るカメラワークは冴えているし、メタい作品構造も好物なので個人的には好き。ただ頭で考えた技巧的な作品である印象も否めず、エンタメとしてはもう少し何とかする余地がありそう。
- 出版社/メーカー: Happinet(SB)(D)
- 発売日: 2012/12/04
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何となく語りづらい作品ではあるんだけど、面白かったのは間違いないのでここに入れておく。
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ど派手なドンパチ、ろくでなしが兄の死を乗り越えて成長、最大のピンチで老兵どもが活躍! まさにザ・ハリウッドな映画。たとえば同じエンタメ作品である『アベンジャーズ』の場合、最大限に楽しむためには相応に「アメコミ好き」「ヒーロー好き」の補正が必要になってしまう。なのでこういう何も考えずに見れるエンタメ大作はとても嬉しい。
侵略宇宙人と地球防衛軍の戦力を拮抗させる状況づくり等、細部で上手いなあと思える部分も多いのもまた良し。
■凄まじい映画ベスト5
- 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
- 発売日: 2012/11/24
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風が吹きすさぶ土地に住む親子と馬の一週間が淡々と綴られる作品。途方もない長回し、数少ない上にとりとめのない会話。何も起こらず、何も変わらないが、暮らしぶりは日に日に痩せ細っていく。しかし終末の訪れが描かれることもないまま、ただ映画だけが静かに終わる。その絶望感を味わいに劇場に足を運ぶ価値は充分にあり。
サニー 永遠の仲間たち デラックス・エディション Blu-ray
- 出版社/メーカー: TCエンタテインメント
- 発売日: 2012/11/02
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最初の方で韓流ドラマを茶化すシーンがあるのだけど本編はそれ以上に過激。躁状態じみた罵り合い、フィクションでも今時これはないよと言いたくなるような登場人物のキャラづけとファッション。一切のリアリティを放棄して次から次へと劇的な状況を見せるその態度が潔い。もはや不条理ドラマの域。
「自分の娘がイジメを受けていると知る」に対する「母親仲間でいじめっ娘をボコして万事解決」という身も蓋もない解決が好きです。
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2013/01/11
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映画の80パーセントくらいがアクションなのがまずとんでもない上に、人体破壊描写がとことん容赦ない。クンフーアクションとかのシュパシュパ素早い打撃っていまいち重量感に欠けるような……とは今までも思ってたけど、こういう解決方法があるんだなあと感嘆した。恐るべしインドネシア映画。
4.『危険なメソッド』
クローネンバーグお得意のグロや暴力趣味がないので、一見するとあくまで正統派のドラマが展開しているようにも見える。けれども会話の奥底に、登場人物の無意識の欲望がうごめく様子がありありと伝わってくる。終始不穏な雰囲気で、こういう映画はなかなか観ないよなあと思った次第。
5.『ライク・サムワン・イン・ラブ』
これについては過去記事に書いた通り。会話劇なのに言葉がどこまでも無能でかみ合わない。その末に、あの放り投げるようなラストシーン。ビビる。
■ダメな映画ベスト5
1.『宇宙刑事ギャバン THE MOVIE』
2.『TIME タイム』
3.『貞子3D』
4.『ヒューゴの不思議な発明』
5.『おおかみこどもの雨と雪』
1〜4は割愛。5はついてはいろいろと思う所あるが、やはり割愛。
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以上、だいたいこんな所。
これを書いている今、既に年越しまで残り二時間を切っているし、そろそろこの辺にしときます。
それではよいお年を。