幼い頃から友達がおらず、作ろうともせずに過ごして来た高校生・比企谷八幡。その性格に難アリと教師から断定されてしまった彼は、矯正のために部活に入部させられてしまう。その部活動とは、非公認ながら生徒の問題解決を手助けするという「奉仕部」だった。出来事の唐突さと、同じ奉仕部に所属する学校一の美女・雪ノ下雪乃の厄介さに戸惑う八幡。そこに最初の依頼者となるクラスメイト・由比ヶ浜結衣がやってきた。
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「俺ガイル」こと『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』を観た。原作は未読だし突出した凄みのある作品ではないけれど、第一話を見る限りでは好印象だった。何が好ましいかって主人公のひねくれぶりがむしろ率直で清々しいこと(それでいて「やっぱりキモいよね」と思えること)。
というのも、八幡は輝ける青春どころか普通の学校生活からも道を踏み外してきた人物らしい。今は諦念を抱えつつも「ぼっち」としてほどほどに過ごしている……なんだけど。課題作文では青春を謳歌する連中への怨嗟をつらつらと述べ、「砕け散れ」と正直に書きつける。もしくは仲の良いわけでもない同級生の女子をビッチ呼ばわりする。
黙っている間はまだしも、いざ人と接してみれば「ああ、こいつはダメだ」と一目でわかってしまう。そんな偏った言動が随所で実際に飛び出るのが八幡だ。その難儀な性格の原因はどうあれ、彼が「ぼっち」の道を歩んでいく様は想像に難くない。
たとえばこれが『涼宮ハルヒの憂鬱』のキョンならどうか。彼には斜に構えているような部分があるものの、その態度をSOS団に対してもクラスメイトにも対しても軟着陸させる小器用さを備えていた。あるいは『中二病でも恋がしたい!』の富樫勇太。彼は自分の人格にこびりついた中二病の過去を完全に切り離すことができている。だから身内の人間関係以外の場所で奇矯な振る舞いはないし、周囲から無理解の視線に晒されることもない。他、『僕は友達が少ない』の小鷹に至っては、眼つきの悪さ以外にさしたる汚点は見当たらない。
これらのラノベ系主人公(と、とりあえず安易に括っておく)が見舞われる不遇さは、どこか他責的で言い訳めいたものに思える。「それが現実だ。仕方ない」「過去の自分は捨てた。今の俺は違う」「悪いのは自分を誤解する周囲の方だ」と。たとえ彼ら当人が思わずとも、作品が彼らに与える状況はそう思わせるものになっている。
ところが八幡の場合、彼のダメさ加減はきちんと彼自身から発したものである。そして彼は他人のことを責めつつも、その事実を自覚して自ら引き受けている。
だからこそ彼は次のようなセリフを吐けるのだ。
八幡「なんだその、変わるとか変われだの。他人にオレの自分を語られたくないっつの」
雪乃「あなたのそれは逃げでしょ」
八幡「変わるっていうのも、現状からの逃げだろ。どうして今の自分や過去の自分を肯定してやれないんだよ」
この達観した考えを心の底から語るには、八幡はやや若すぎるようにも思える。それにもしその言葉が本心でなかったら、確かに彼の言動は「中二病」「高二病」と括られてもおかしくないのかもしれない。それでも八幡が好ましいのは、彼はアタッチメント式のオタクでもないし、自分の過去を「黒歴史」だの「中二病」だのといって消去して見せる手合いではなさそうだったから。
彼は不器用さを抱え込んでしまった類の人間なんだ、と。自分にはそんな風に思えてならなかった。
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まだアニメは第一話な上、原作も未完結とのことだとか。果たして彼の態度は「逃げ」なのか否か。その点に本作はどう答えるのか。後の展開に期待したい。
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