タケイブログ

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『グレイヴ・エンカウンターズ』についてのメモ書き

 コリンウッド精神科病院――広大な敷地をもつその病院には、1895年間から65年間にわたり8万人もの重度の精神障害者が入院し、多くの患者が院内で命を落としていった。

 現在廃墟であるこの病院には不吉な噂が絶えない。笑いながら徘徊する幽霊の目撃証言、かつて医師が数多くのロボトミー手術を重ね、その末に患者に刺殺された事件……。情報を得た我ら番組スタッフは、さっそくこの呪われた病院へと駆けつけた。無論、超常現象と遭遇するために。番組プロデューサーであるこの私ランス・プレストンと優秀な番組スタッフ、それに霊能力者ヒューストン。病院に突入した我ら五人が目撃したものとは……!

 今夜、テレビの前のあなたも「遭遇」する――『GRAVE ENCOUNTERS(墓場との遭遇)』



 ――というふうに本作を紹介してもあながち間違ってはいないはずだ。だからこそ本作は厄介である。

 フィクションじみたドキュメンタリーであり、ドキュメンタリーじみたフィクションである心霊番組……そのメイキング映像が、積極的にモキュメンタリーの展開をなぞりながらも、最後には心霊番組として完結する。やる気マンマンで心霊現象を撮りに行った撮影班が、ガッツリ心霊現象に遭遇して、心霊番組を完成させてしまうのだ。

 映画自体はとりたてて特別なものではない。しかしモキュメンタリーと一言で呼べるものでもない。言うなれば、本作はモキュメンタリー風の劇映画である。そしてそれはモキュメンタリーの手法が広く認知された今だからこそ成り立つものである。

 モキュメンタリーのメタ化は進んでいる。